矯正

2016年5月16日 月曜日

【矯正】矯正治療での「咬み合わせ」について

初診・相談時の問診票の「一番気になるところはどこでしょうか?」の問いには、「前歯のガタガタ」、「前歯が出ている」などの他に、「咬み合わせ」とか「咬み合わせが悪い」と答える方がとても多くおられます。ひとくちに「咬み合わせ」と言っても、ものすごく幅の広い概念であり、説明するのは難しいのですが、我々矯正医が普段の治療で理想としている、「咬み合わせ」(以後、「咬合」と記します)というのがあります。


↑の写真で、上はナソロジーという補綴分野での理想モデル。下の写真は素晴らしい咬合の天然の標本です。矯正ではこちらを理想とし、そこから多くの特徴を抽出し、治療に応用するわけです。

例えば、治療も終盤になると、咬合の「微調整」の段階があるのですが、矯正の先生が神妙な顔つきで、模型もしくは口腔内にゲージを当てながら、「う〜ん......」とうなっているかもしれません。それは歯列にはバッカルプレーンというのがあり、その平面上に「定められた7つの咬頭」がフィットしているのがいいとされているからです(ただ、これは非常に難しいです)。


もっと原則的なこととして、上顎の歯牙は下顎のどこにコンタクトしたらいいのかというのがあります。↑の写真は有名な「顎関節と咬合」に関する比較的有名な成書ですが、これぐらいの用件ではアバウトすぎて、実際の矯正の臨床ではまったく使いものになりません(驚)。それに、この図では、上顎の近心口蓋咬頭が下顎の中心窩にコンタクトしているように見えますが、矯正での理想咬合としてはそれは間違っています。


 

矯正医はどことどこがコンタクトするかについては、ナンバリングして番号で覚えている場合が多いと思います。非抜歯で24個番号を振りますが、そのうち重要なのが3〜4個あります。
例えば、カルテにも「14番OK」とか、「6番?なので,14の精度をチェック、場合により付加装置」、「#7?、オフセット必」となどと書きます。
そうやって毎回少しずつ、「咬合」を作っていくのが矯正治療とも言えます。

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2015年12月13日 日曜日

【矯正】ディテーリング中のブラックスペースの問題

治療終盤のディテーリングの段階で、前歯部の鼓形空隙が目立つようになることがあります。これをブラックスペース、あるいはブラックトライアングルと呼び、可能なかぎりで治療します。
歯の大きさや形によっては、矯正治療だけでは対処できないこともあるので、その場合は審美的な修復や補綴を検討する必要もあります。

以下は矯正治療だけで対応可能な軽度のもので、その際は、いつもDr.Kokick先生の方法を参考にしています。






歯冠乳頭基底部の長さをa㍉とすると、歯同士のコンタクトの位置を低くするために、½a㍉を目安にストリッピングをします。½a㍉はなかなかに大きな値なので、この写真ではそこまでやっていませんが、コンタクトが少し空いているのがわかるとおもいます。これを寄せることでブラックスペースはかなり改善します。



本来、この症例では、前歯部の後退に続くディテーリングに入った段階で、破線丸で囲ったところを治す必要が生じていました。これを治す過程において、


このように反対側にブラックスペースが生じてしまいました。これを上記の方法に従い治しました。





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2015年12月 8日 火曜日

【矯正】リンガル(舌側)治療と唇側治療の進行過程

リンガル(舌側)治療と通常の唇側治療で治療期間にどれぐらい差が出ますかとよく問い合わせがあります。治療期間はそもそものケースの難易度に左右され、舌側か唇側でそれほど差はないように思われます。ただ、舌側矯正では、セットアップという技工の段階と最後のディテーリングで唇側よりも時間を要すことが多いです。次のシェーマは当院で治療の進行の仕方を説明する時に用いているものです(ブログの仕様で画像の横幅が450ピクセルしかとれず、見にくくて申しわけありません)。

例として、上下の第1小臼歯を抜歯して治す場合の、上顎の咬合面から見た時の進行過程です。

診断と治療計画についてはリンガルでも唇側でもそれほど大きな相違点はありません。
目標として,次のようなVTOという歯牙移動の見取り図を作るところも同じです。


これをもとに、治療が開始され、歯列の拡大を行う必要のある場合は3~4か月かけてそれを行います。
特に、内側に回転した第1大臼歯を治し、V字型歯列弓を少しでも治しておくのは重要です。


ここからリンガルと唇側の治療では別の道筋を進んでいきます。

リンガルではなるべく全ての歯に装置をつけ、連続したワイヤーで並べていきます。

唇側ではまず、犬歯だけ後退させ、前歯のガタガタがほどけてきてから前歯部の配列を行っていきます。





次に前歯を後退させる段階では、リンガルでは犬歯を含めた6前歯をまとめて後退。
唇側では犬歯はもうすでに後退させているので、4前歯の後退とコントロールを行います。



最後にディテーリングという非情に重要な段階を経て、装置をはずし保定に入ります。
ディテーリングでリンガルのほうが時間がかかることが多いかもしれません。



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2015年4月28日 火曜日

【矯正】口呼吸の悪影響

花粉症の原因物質の捕集期間というのを調べると、関西では3~4月でスギ、ヒノキのピークがあります(5月にはイネのピークが控えています)。そして矯正のご相談の患者さんには、この時期、季節性の鼻アレルギーの方がとても多く、ほとんどの場合に口呼吸を併発しています。


口呼吸にはいろいろな弊害がありますが、そのひとつに、低位舌により下顎が後下方に回転してしまうことが挙げられます。特に骨格性の下顎後退が認められる場合で、前歯部や臼歯部に反対咬合を生じている時は、慎重に治療する必要があります。

というのは、そうした反対咬合を是正する過程では、下記の黄色の矢印のように下顎が後下方に回転しやすく、口呼吸を伴う場合はその傾向がさらに助長されるからです。下顎が開き、図の角度が1°開くだけで、2㍉ぐらい奥歯の位置関係は悪くなってしまいます。これは矯正治療においては非常に大きい値です。

なので、この時期、花粉症による鼻アレルギーで口呼吸が重篤な場合は、下記のような前歯部や臼歯部の反対咬合を治すのを、少し待つこともあります。

①前歯部の反対咬合(骨格的には下顎後退型の場合)






②臼歯部の反対咬合




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2015年4月28日 火曜日

【矯正】動的な治療から保定へ










矯正治療の期間はおおまかに二つの期間に区切ることができます。
1 動的な治療期間(動処期間):2年〜2年半
2 保定期間:長期間

ひとつめの動処期間にはさらに
1−1 大きな移動の段階
1ー2 仕上げの段階
に分けられます。

"大きな移動"というのは、歯列の幅径を拡大したり、ガタガタをきれいに並べたり、さらには抜歯後の前歯の牽引や空隙の閉鎖など本家本丸の段階です。
次の"仕上げ"で、歯根の方向や傾き、細かな凹凸の調整などに時間をかけます。これが非常に重要です。

この仕上げが終了すると、待ちに待ったブラケットがはずれる日が来て、保定になるのです。

タカオ矯正歯科では保定期間中は在宅時に取り外しの可能なリテーナーという装置を使用してもらいますが、上下の前歯の裏側に固定式のボンダブルリテーナも接着します。これを同じ日に上下同時に行うと、かなりの時間がかかるので、当院では上下どちらか一方から保定にはいることにしています(↑の写真では上顎から)。

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2015年2月15日 日曜日

【矯正】歯の脱灰について

われわれが口を開くのは虚栄心のゆえである
スピノザ

 




矯正治療をはじめる時は、歯が捻転していたり、重なりあっている状態が普通です。これを正しく配列するために、必要なスペースを確保し、そこに歯を移動させていくのです。





そして、こうやって並べるのに必要なスペースをつくり、そこに動かしていく過程で、今までは歯牙同士の重なりで見えなかった脱灰部位がはっきりと現れてくることが少なくありません。



脱灰というのは、歯のエナメル質の表面からミネラルが溶け出した状態です。光沢を失い、白い点状・帯状に見えます。

お口の中では食事ごとに、微少レベルで脱灰と再石灰化というサイクルが繰り返されているのですが、これには唾液が大きな働きをしています。唾液が届かないところでは再石灰化が起こりにくいのです。不正咬合で歯同士が正しくない位置で密着していたり、口呼吸で唾液の働きが弱まっていると、そこにこうした脱灰が生じやすく、矯正治療中によく見つかります。

この脱灰したところは、なかなか光沢をとりもどすまでに自然に治ることは残念ながら難しいかもしれません。ただ、これ以上に進行させないためにも、再石灰化が優位になる口腔内環境を維持することが本当に大切です。

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2015年2月10日 火曜日

【矯正】まずは虫歯の予防と歯ぐきの健康から

感動を与えたいって、何様のつもり?
------アナナマス

 


最初の初診・相談の時に、矯正治療についてお伝えすべき事柄として、3つのことがあります。

①歯列不正の状態と治療についての見通し
②姿勢、態癖への気づきと、舌・口唇などの口腔周囲筋のトレーニングのこと
③虫歯と歯周病の予防

についてです。

初診・相談には1時間ほど確保していますが、これらすべてについて念入りにお話しするのが難しいときもあります。特に低年齢のお子さんの場合は、①や②の前に、まず③の虫歯や歯ぐきの健康について、親御さんにもその重要性をしっかりお伝えしないといけない場合があります。

「液体歯磨きだけでクチュクチュってうがいだけしかしてないんです、この子。そんなのでいいんでしょうか?」と聞かれる時がありますが、答えはもちろん「ダメ。絶対に歯ブラシを使って磨くように」ということになります。
ちなみにその子に、市販の洗口剤だけで30秒くらい念入りにうがいしてもらい、その状態で染め出しをしてもらいました。プラークやバイオフィルムが付着し、汚れているところが赤く染まります。


市販の洗口剤はなんの効果もないことがわかると思います。この状態を見て、「え〜ッ」と驚いてもらうことが第一歩です。

次にバイオフィルムのバリアを破壊する効果のあるエピオス水(タンパク分解型の除菌水)でうがいしてもらいます。


40~50度に暖めたものを使うと、もっと赤い部分が自然にとれるのですが、それでは気づきとブラッシングの重要性を指導できないので、常温でやってもらいます。この段階で模型などを使って、歯磨き指導し、自分で5分ぐらいかけて磨いてもらうことにします。エピオス水の作用で、汚れがとても落ちやすくなっています。



そして綺麗になった歯を見てもらい、もう一回「こんなになるんだ」と驚いてもらえればこちらも言うことはありません。

ただ、歯がきれいになると歯ぐきがいかに炎症を起こして赤く腫れ気味かもはっきりわかってきます。これに気付いていただけると、次の段階へと進んでいくことができるわけです。

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2015年2月 6日 金曜日

【矯正】正中の偏位には注意を

一度も失敗したことがない人は、新しいことに挑戦したことがない人である。
アルバート・アインシュタイン 

《正中の偏位、特に下顎の大きなズレがあるとき》
前歯部や臼歯部の叢生は目立つので、患者さんもそれを主訴に来院されますが、正中の偏位は見逃され、来院時に発見されることがよくあります。
特に下顎位に問題が生じていると考えられる時は、早めの処置を考えたほうが望ましいかもしれません(特に成長期のころは)。



関節が、歯列に依存せずに生理的に機能すると考えられる顎の位置(CR:中心位といいます)で記録をとります。そうすると、普段咬んでいる顎の位置(CO:咬頭嵌合位)と大きなずれが生じていることが一目瞭然です。
この場合は、右上の犬歯で干渉が生じ、このとき臼歯部はまったく咬むことができません。そこで自然と下顎を左側にずらして咬むようになっていることが予想できます。
偏位が生じる発端は、頬杖や寝るときの姿勢、かみ癖などの態癖が関係している場合も多く、治療に際してはこれらを治すトレーニングも併せて行っていきます。




《こうした場合の治療》
先ほど記したCRとCOはできれば1㍉以内のずれがいいのですが、このケースでは特に左側の関節が後上方に4㍉近くずれていました。非常に大きな偏位量といえます。このため、普段咬んでいるCOで治療計画を立てることはできませんので、生理的なCRを基にして治療計画を立案することになります。


2年間の治療であれば、その間の成長予測も組み込み、歯牙の移動を考えます。側面では、審美的な歯牙の位置を考慮し、前歯と臼歯の位置を決定します。正面からは歯列の幅径を上顎が3㍉、下顎は2㍉拡大することとし、これらに適した装置のデザインを適用させます。




最初の検査を行った時からほぼ1年近く経過した段階です。少しずつ正中があってきています。計測するとCRとCOはまだ1.5㍉ほど偏位が認められますが、いい方向に進んでいると考えられます。



正貌のセファロの分析でも、下顎全体が右側方向に是正されるように成長していっているのがわかります。このあとの1年で、まだ装置をつけていない上顎の前歯や、完全に萌出していない第2大臼歯に装置をつけて、きっちりと仕上げをしていくことになります。


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2015年1月31日 土曜日

【矯正・お知らせ】エピオスエコシステム導入と院内勉強会

学ぶことはダイヤモンドと同じく永遠である。
リチャード・ザキア(Richard Zakia)


昨年の11月に歯科ユニット内の汚染とそれを完全に無菌化するシステムの話を聞く機会がありました。そして、当院のような矯正医院でも最善の治療を行っていくうえでは水質汚染の問題を避けて通ることはできないし、このエコシステムの導入にこぎつけました。昨日までその工事と勉強会を行っていたところです。

現在、ユニット内チューブもすべてフッ素コーティングの最新のものに入れ替え、ユニット内の水、シリンジ、超音波スケーラ、タービンなどすべてに殺菌水を連続で流しています。他の手洗いや歯磨きコーナなどの水もこの殺菌水です。




また、上記の除菌水とは濃度、pH値の異なる、口腔内のバイオフィルムを除去する機能の高い、エピオスウォーターも産生し、新しい口腔ケアの方法も提案していきますので、当院の患者さんに大きく寄与できると思います。




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2015年1月14日 水曜日

【矯正】舌尖の位置を覚える

同じことを述べた理論や説明が2つある場合、その他の条件がすべて同じであれば、シンプルなほうが好ましい
オッカムのウィリアム(William of Ockham)

 

矯正治療では、一貫して舌の正しいポジションをキープしてもらうことを重要視します。

動的な治療中はもちろん、保定に入ってからも、開咬(オープンバイト)のケースなどでは舌尖の位置の不断の確認が大切です。正しい位置にゼラチンを貼り付け、そこに舌尖を位置づけることで覚えてもらいます
(このゼラチンは30分ぐらいで溶けてなくなりますが、ラテックスアレルギーのある方には使用しておりません)。

ただし、このスポットの位置を覚えてもらう前提として、
・トレーニングを通して、舌自体の力をつけること
・舌小帯の問題が解決できていること

がとても大切です。




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