Takaorthology

2010年9月16日 木曜日

【矯正】矯正治療で重要視する筋肉

模型は咬合器につけて診断します

矯正の検査では写真のような、下顎の頭蓋に対するポジションの記録をとります。この際、歯牙同士の咬頭嵌合に左右されることのない、顎関節にとってヘルシーな位置を重視します。これをCR(Centoric Relation)セントリックリレーション、略してセントリックと呼びます。

このセントリックにおいて、咬合の調和を乱すような歯牙同士の早期接触などがないかスクリーニングし、そうしたものがあればそれを悪化させない方向での歯牙移動を治療計画に取り入れる必要があるのです。

外側翼突筋の解剖図

セントリックでの後方臼歯の早期接触、干渉などがあると咀嚼筋は大きな影響を受けることになります。その中でも一番重要なのが、外側翼突筋下頭という筋です(↑の図で色を少し濃く処理した部分)。簡単に触診できる咬筋や側頭筋と異なり、外からも口腔内からも触診不可能な位置にある、やっかいな筋肉ながら、最重要なものなのです。

外側翼突筋の走行イメージ

模型上、仮想的には赤の矢印のように走る筋束で、

下顎骨の関節頭

下顎の、関節突起の窪みから伸びて、

外側翼突筋の付着部位

↑の写真の青色の部分にべったりと集束します。

外側翼突筋の解剖図:下面から

ちょっとややこしいのですが、頭蓋を下方かつ後方から仰ぎ見ると、この筋肉は↑の図で濃い色の筋束。前方にかつ内方に伸びているのがわかると思います。

咀嚼筋の連動

外側翼突筋下頭は正常な状態であれば、口を閉口していく際に活動することはなく安静なのが普通です(図の青色の筋肉:外側翼突筋下頭の他、舌骨筋群も安静)。

咬合の不調和による咀嚼筋のアンバランス

ところが、セントリックで臼歯の早期接触・干渉などがあると、安静のはずの外側翼突筋下頭は一気に緊張し、他の閉口筋も活性が上昇。筋の痛み、違和感、疲労などの筋症状が発生するリスクが高まってしまいます。
セントリックでの干渉はすべからく筋症状を引き起こすわけではありませんが、矯正医はこれがものすごく嫌いなのです。ですので、検査でこれがないと安心し、存在すれば、それを解消する方向での歯牙移動を目一杯考えます。

口腔内:中心咬合位での臼歯の咬合

典型的な例です。筋に関しては患者さんの自覚症状(−)、触診における咀嚼筋の圧痛などの兆候も(−)。外側翼突筋下頭のプレッシャーテストもマイナス。ひとまず安心なのですが、開咬気味で大臼歯にもスパッと削れたようなファセットがあり、おそらくこの咬頭嵌合とセントリックは異なるだろうと予想されますが、その程度が問題です。

中心位のバイト

検査でセントリックを採得すると、

中心位での臼歯の咬合(中心咬合位とは異なる)

このように第2大臼歯で早期接触してます。それより前方は開咬です。この位置から咬頭嵌合まで、患者さんは無意識に、なるべく安静であるべき外側翼突筋下頭を活動させて閉口していると考えられます。
実際にここからどのような治療計画をたて、どう進めたかは別の話題になりますが、強調しておきたいのは、矯正はブラケットとワイヤーによる歯牙の移動に目がいきがちですが、その裏で咀嚼筋の活動にも出来うる限り注意を払うのも、矯正医の仕事として重要なのです。

長くなりました。ご一読たいへんありがとうございました。





投稿者 高尾 祝文 | コメント(0) | トラックバック(0)

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